12月に入ると、クリスマスとお正月の準備でおいしいものの準備が慌ただしくなってきます。
そんなこの時期、いろいろなお正月食材をこだわりの素材と製法でつくっている生産者さんが、島根にはたくさんいるらしい…!と聞いて、先日、島根へお邪魔してきました!

家族の病気をきっかけに、異業種から有機のお米づくりへ

食感はもちろん、口に入れたときの、あの香ばしい香り。お餅を食べると、冬の食べ物の豊かさを、改めて感じます。三和農産さんがつくるおいしい有機のお餅「いずも美人」が、この年末に入荷します!

第1弾は、もともと、ビオセボンではお米「出雲阿国」が人気の三和農産さん。環境になるべく負担をかけず、農薬を使わずにつくるお米とお餅の生産地を訪ねました。

島根県出雲市の斐伊川の近くにある三和農産さんは、異業種からお米の有機栽培を始めた農家さんです。会長の渡部寿志さんは、先代に続きもともとは農機具の販売をしていたのですが、その先代のお父様の病気をきっかけに有機農業に取り組むことを決心。自然農法の社団法人で5年間お米づくりを学び、玄米とお米の有機認定を受けました。

会長の渡部寿志さん。現在は息子の祐三さんが代表として事業を受け継いでいます

「もともと、農機具の販売の時に苗の仕立てもしていたので、お米づくりへの入り口は近かったんです」と寿志さん。30年間、何度も挑戦と失敗を繰り返しながら、有機のお米づくりに取り組んだといいます。試行錯誤を繰り返すうち、有機のお米づくりで大事なのは「原点に返ること」が大事だと気付いたと寿志さんは語ります。

「有機は、もちろんのことですが農薬はまかないので、畑に雑草がどんどん生えてきてしまいます。だから、雑草に負けない苗を無農薬で作ろうと思った時に、大事なのは“種の力”でした。

私は60℃のお湯につけて殺菌をして、消毒薬は使いません。その後、種を一定の温度の冷たい水に長い間浸して、お米の栄養を引き出します。このとき、種の胚芽から芽が出てくるのですが、お米の胚芽以外の部分がちゃんと芽の栄養になるように、冷たい水に長く浸すんですね。

消毒せず、もともと種が持っていた力を35日かけて引き出して苗にすることで、病気や他の草にも負けない苗ができるんです。そのことにたどり着くまでに、10年ぐらいかかりました。昔の人が『お米作りは、苗作りが8割以上重要だ』と言っていたのを思い出しますね」

三和農産さんは、島根に有機の認定機関がなかった1986年から有機に取り組み、鴨栽培や深水栽培を経て、「紙マルチ栽培」という農法で化学肥料と農薬を使わずにお米を育てています。これも、農薬を使わず雑草をなるべく減らす工夫のひとつです。

「紙マルチ栽培」とは、植え付けた稲のまわりを覆うように黒い紙を敷き、雑草が生えたり虫がつくのを抑えます

紙マルチ栽培に使うダンボールに付くインクにまで配慮して、リサイクルのダンボールは不使用。九州のとうもろこしを使った黒い紙を使うというこだわりもすごい!細かいところにまで気を配られているのがわかります。

「20ヘクタールある有機の農地は、おそらく全国でもここだけです。井戸水を使って、水にもこだわっています」
刈り取り直前の黒米の田んぼも見せてもらいました!たわわに実った稲の周りには、野花が咲いています

「稲に害のない虫のすみかを奪って薬をまくのは違うと思って。稲の周りの草は刈らず、そのままにしています」と寿志さん。

有機は、生えてくる雑草や虫との手間のかかる戦い。そこで手を抜かずに、いいと思った方法を真っ向勝負でつくるから、おいしいお米ができるんだそうです。自分に厳しく、誠実な農業をされている様子が伝わりました。

真面目に、正直に。徹底した考えに基づく、オリジナリティあふれるお餅工場を拝見!

そして、採れたお米でつくるお餅工場も拝見!こちらは、寿志さんが全体の構造を設計した工場なんだそう。お米の、あのふわんと甘い良い香りがうっすらと漂います。懐かしい、せいろの機械や大きな杵つき機が置いてありました!

なんと、蒸し器などの機械も寿志さんがオリジナルで作っているという、想いの詰まった工場なんです

「以前は人の手で、杵つきで餅をついていました。杵つきはおいしいんだけれど、大変だしできる量も限られている。
そこで、昔ながらの方法でお餅を付ける機械を導入しました。何種類も餅つき機を買っては試したけれど、よくある『クランク式』というものはお餅をつくんじゃなくて、練っている。『それは、本当のお餅じゃないな』と思って、うちではクランク式ではない餅つき機を導入して使っています」と寿志さん。

お餅をシングルパック(個包装)する機械。空気も水も通さない特殊なフィルムで包装されます

テクテクと工場を案内してもらっていて気づいたのですが、三和農産さんの工場は、同じ場所を行ったり来たりすることがありません。ここに、寿志さんがこの工場を設計する際に重要視した、一番の意図があるそうなのです。

「作業に合わせてルートを一方通行にすることで、人間の出入りの多い場所を作らないようにしているんです。お餅は、カビなどの菌が一番の大敵。そのカビが好きなのが、汚れなんですね。だから一番汚れる『出入り』を限りなくすることで、菌を持ち込まないようにしています」とのこと。

ほかにも、週に1回、工場で菌の自主検査を行ったり、お餅に空気を絶対に通さない特殊なフィルムを使ったりと、徹底的に対策を行っているそう。

「私は有機の検査員もしているんです。有機認定を取得した人の調査に行くんですが、自分がこうして日々手掛けていることだから、検査する目はとても厳しいかもしれません(笑)。でも、やるなら本当のことをして、本当のものを売らんといけんからね」と寿志さん。

お餅に入れるよもぎも、自分たちで有機栽培するそうです。食べる人のことを考えて、徹底されたものづくりがそこにはありました。

「有機でやりたいことはまだまだある」。有機のパイオニアとして考える未来

スーパーやコンビニでよく見るお餅といえば、個包装された(シングルパックの)お餅が一般的ですよね。実はこのシングルパックも、三和農産さんがいち早く考案したものなんだそう。お米づくりだけでなくお餅づくりをするにあたって、「せっかくやるなら、おいしいお餅を便利に食べて欲しい」という思いからシングルパックを考案。

「お米そのものがおいしい」ということがしっかり伝わってくる、そんなまっすぐなお味です

ビオセボンで販売する「いずも美人 四角餅」は、頬張るとお米の甘さと香りが口の中いっぱいに広がって、味わい深い!お正月だけでなくこれからの季節、朝から晩までマイペースに楽しめる個包装とお徳なサイズなのも嬉しいですよね。

有機のお米づくりから始まり、お餅の工場の造りも、お餅の個包装まで…。寿志さんの尽きないアイデアと取り組みは本当に素晴らしい!新しいことをする時は、他の農家さんからの反発や困難もありましたが、応援してくれる人もいて。

「世の中に有機を広めたい。頑張っている人と何か提携をしたり、有機の普及に尽力したいと思っています」と寿志さん

有機をする人はまだまだ少ないという寿志さん。その理由を伺うと、「有機は本当にルールが厳格で続けていくハードルが高いんです。私も、もう二度とやるまいと何度も思いました」と言います。「でも、工夫すれば何でもできるのも有機農業の面白いところ。お餅の分野ひとつとっても、やりたいことや作りたいものはまだまだあるんです」と意欲たっぷりに語ってくれました。

まだまだ、寿志さんから生まれるアイデアが世の中の「当たり前」になることも多そうですよね!

おすすめアイテム

三和農産
白角もち(お徳用)
農薬完全不使用で育てた有機JAS認定のお米を使用した角餅。個包装されているので、常温で保存できて好きな量を好きな時に楽しめる
三和農産
有機玄米 出雲阿国
出雲・斐伊川の清らかな水と豊かな大地で育まれた、農薬・化学肥料を一切使わずにつくられた滋味あふれる有機玄米

※写真はイメージです。
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