純植物性のエサを食べてのびのび育った若鶏、素直な味の卵、うまみがストレートに伝わってくる牛乳やヨーグルト…。ビオセボンの店頭でおなじみの「秋川牧園」の生産品は、このひろいひろい空の下で育まれました。出会う人すべてが個性的でまっすぐ輝く生産者さんたちにナビゲートしてもらって、秋川牧園の素敵な横顔をたっぷり覗いてきました!

おいしいものを求めて、本社にお客さんがひっきりなしに訪れる

日本が高度経済成長時代終盤だった1970年代前半から、鶏に与える飼料をすべて植物性のものにしたり、薬を使わずに飼育したり。更には、無農薬・無化学肥料で野菜を栽培したり…と、たくさんの常識を覆してきたという「秋川牧園」さん。

ビオセボンでは11月1日から、クリスマスにぴったりな秋川牧園さんの丸鶏を予約開始するということで、ぜひこの機会に!と、見学させてもらいました。海を挟んで九州のお隣。穏やかな気候の山口県のなかでも、雪が降ることもあるという自然の表情豊かな場所に、本社がありました。

秋川牧園 本社に隣接した直営店。規格外の卵や、不揃いのお肉が飛ぶように売れているんだとか
案内してくれたのは、松尾さん。もともとは音響メーカーで働いていて、秋川牧園に転職してから20年ほど経つベテランさんです

本社にある直営店は、平日でもひっきりなしにお客さんが訪れる人気店!そのすぐお隣には、卵の選別や、精肉を加工する工場、新商品を企画・考案するオフィスなど、ありがたく頂いた自然の恵みをていねいに加工していく一大拠点がありました。

本社から車で15分ほどのところに、養鶏場がありました。鶏舎に近づくと、ザワザワとした鶏の声が聞こえてきます…!

アニマルウェルフェアに配慮しつつ、鶏糞も有効活用

突然の来訪にびっくりしていましたが、徐々に慣れて近くまで寄って来てくれました。ひよこから21日ぐらい経って、ひよこと鶏の間といったルックス

秋川さんの鶏舎は太陽光が入る開放鶏舎で「薄飼い」といって、鶏にストレスの低い密度で飼育されています。

純植物性のエサだけを食べた鶏糞が混ざったチップは、乳酸菌と納豆菌を混ぜいい具合に発酵するため、栄養たっぷりのたい肥として再利用できるんだそう
4棟ある鶏舎を前にして藤重さんたちと。藤重さんは、長年鶏の飼育を仕事にされてきた方。秋川牧園の食への考え方に共感して、転職されてきたんだそう

「酒蔵のように、いい菌がいっぱいあるようにつくられています。地面の鶏糞は、山盛りにしてその発酵の熱で一度殺菌。いい菌だけが残るようにしています」と、案内してくれたのは生産部の藤重さん。

開放鶏舎は、お日さまと一緒に起きて、暗くなったら寝るという生活サイクル。十分運動をして、長く飼育するので肉質もよく、純植物性の飼料を使うことで臭みのないお肉ができるそうです。この育て方は、鶏のストレスが少なくて、アニマルウェルフェアにおいても良いのだそう!

鶏が食べたものが反映されるから、間違ったものは入れないようにする

続けて、秋川牧園さんが何よりも一番初めに取り組んだという「卵」の農場へお邪魔しました。こちらもアニマルウェルフェアに気を配って、通常ならば窓のない鶏舎で天井まで5段ケージが積まれているところを2段にして、鶏の密集を避けているそうです。

藤重さんと付き合いの長い、秋山さん(左)が案内してくれました。たくさんある鶏舎からは、ビオセボンでもおなじみの卵が日々、産み出されています

「卵の黄身の味や栄養は、食べたものによって影響を受けやすい存在なんです。だからこそ、投薬をせず、飼料もポストハーベスト農薬(収穫後にかける農薬)も使わず、non-GMO(遺伝子組み換え食品不使用)、植物性飼料で育てています」と秋山さん。

「秋川牧園では、『卵はいのちの缶詰』と呼んで大切にしています。鶏が食べたものがすべて卵に凝縮されるからこそ、間違ったものが入らないようにしている秋川の原点です」と、一緒に来てくれた松尾さん。

卵も人の手で回収し、本社の工場で選別。目で見て、機械で見てチェックするという、最後までていねいに検査して、信頼できる卵をつくっているのだそう

なんでもつくっているんですね〜…!
まるで、秋川牧園の工場や牧場がそれぞれ、離れた土地にあっても一つの「村」になっているかのようです。

秋川牧園さんが特徴的なのは、その「なんでもつくっている」の中に、しぜんと、動物のための「エサ=飼料」が組み込まれていること。しかもとうもろこしなどではなくて、お米がメインの飼料を作っているそうなんです。

鶏舎にあった飼料のタンク。お米をメインに食べて育った鶏から産まれた、素直な味と自然な色味の卵をいただきます

動物が食べるものにも気を配りたいから、自分たちで飼料づくり

ここからは、松尾さんが「飼料用米マイスター」と呼んでいるお米農家の海地さんと、秋川牧園 生産部の村田さんにバトンタッチ。お米が鶏のエサになるだけでなく、先程見た鶏糞がこの田んぼに使われていて、環境を循環させているといいます。

全国飼料用米多収コンテストの地域平均単収部門で、日本一の人に贈られる「農林水産大臣賞」を一昨年受賞した海地博志さん
村田さん(左)と海地さんのツーショット。秋川牧園の考え方に共感して、11年前から飼料用米づくりをしています

写真のように、飼料用につくられているお米「飼料用米」は、よく知っているお米よりずいぶん背丈が高くてたくましいんです。約1m20cm以上はあり、子どもなら稲穂の海に隠れてしまうほど。

作り方のコツを聞いたところ、「田んぼをよく観察すること。水の量とか肥料の量とか、虫や病気の兆候や被害がないかとか」とシンプルなお答え。

「でも、そのために村田さんたちが病害虫情報等の対応で走り回っていてくれるから、田んぼ作りに集中できるんです」と海地さん。どうやら、生産部の村田さんが絶えず田んぼを見ているということではないようですが…!?

「それはね、秋川牧園さんが安全な食べ物への思いがあることはもちろん、飼料用米のより良い品種のタネをくれたり、安定した飼料用米の取引先として秋川がいてくれるという安心や、勉強会などの研修もあるんです。

さらにコンテストの応募なんかの事務手続きのお手伝いまでしてくれるんです。それに毎年8月と9月には、村田さんはじめ会長や社長も一緒になって、生産者の田んぼで研修会を行っています。だから、生産者としても一丸となって『よし、全国一位獲ろう!』と思えるんです」

今年もたわわに実った飼料用米。お互いの得意分野をかけ合わせて、安全な食への仕組みづくりをつくれたことが、農家さんのやる気になっている!

でもどうしてここまで、(簡単に言ってしまうと)同じ会社でもない農家さんに、ノウハウやお手伝いまでをしてくれるんでしょうか?そんな疑問に、村田さんが答えてくれました。

「おっしゃるとおり、農業って横のつながりがないと思われがちですよね。でも、こういうものはみんなで盛り上げるものだと思うから。農業という制度や農地を守るために、協力しあっていきたいですよね。

秋川牧園はまず鶏があって、その副産物として鶏糞がありました。これを使って何をしよう?と考えた時に、日本の水田を循環型農業で守れたらいいな、と思って耕作放棄地を活用した飼料用米づくりをみんなで始めたんです」

利益のためではなく、未来のために協力しあうって素晴らしい!理想を考え抜いた先の仕組みづくりが、そこにはありました。

秋川牧園さんでは鶏に関する環境の循環だけでなく、牛や農業でも循環型のサイクルを取り入れているということで、そちらも見学させていただきました!

後編では、そんな秋川牧園の仕組みづくりをされている、社長さんのインタビューとともご紹介しています!なぜ、秋川牧園が理想を追求するようになったのか?ぜひ、後編もお読みくださいね。

おすすめアイテム

秋川牧園
秋川牧園の卵
自然の風と日光が入る開放鶏舎で飼育。抗生物質不使用(無投薬)で育てられ、無農薬、無着色料、nonGMOの飼料を食べる鶏から摂れる卵
秋川牧園
まるごと丸鶏
秋川牧園の丸鶏を、店内のオーブンで焼き上げました。半身も¥2,000+税で予約承り中(12/15(日)17:00まで)。店頭受渡し日:12/21〜25。

※写真はイメージです。
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