口いっぱいに広がる赤身肉のジューシーな風味と、リッチなのにさっぱりとした後味。有機JAS認証を受けた榛澤牧場のアンガス牛は、ビオセボンの店頭でも人気者です。フレッシュな味わいのヒミツを探りに、北海道・釧路の牧場へ行ってきました!

左から、榛澤牧場 代表の榛澤保彦さん、奥さんの恵美子さん、息子の孝さん。私たちの来訪に、牛たちも興味津々!

海からの風を受けた栄養たっぷりな牧草が、おいしさの秘訣

冬の厳しい寒さに加え、夏には海から立ちのぼる霧に包まれ、年間の日照時間が少ない釧路では、昔から「農業は厳しい」と言われてきました。しかし、当時の釧路市長さんが榛澤保彦さんに「釧路で立派な牛が生産できる」と話したことをきっかけに、牧草だけでも丈夫に育つアンガス牛に興味を持ったんだそう。

いわく、農家にとっては悩みのタネだったこの「海からの霧」こそが、牧草に塩分やミネラルなどの豊富な栄養を与えてくれて、アンガス牛を自然のエサだけでより健やかに育てることができるのだとか!

大きくなるまでお母さんと一緒! 母乳で元気に育つ子牛たち

初夏の牧場は出産ラッシュ。自然交配、自然分娩で生まれた子牛たちは約半年間、母牛と一緒に暮らして母乳で育ちます。母乳に含まれる抗体を長期間飲むことで、子牛たちは自然な抵抗力が高まり、健やかに育つことができるんだそうです。

ひろ―い牧草地で、子牛は成牛に守られるように輪の真ん中にいることがほとんど。こうして、スクスクと育つんですね。

オーガニックな飼料をたっぷり食べて、子牛たちは立派な成牛に

その後、子牛たちは肥育期間に入り、有機食材の規格外品や、その食品副産物として、有機豆腐を作るときにできる有機おからや、有機醤油を作ると出てくる有機醤油かすなど、人間が食べられるレベルだが欠けなどがあって売ることができない、いわゆる食品副産物を主に食べて大きくなります。

それらは、すべてオーガニック認証を受けたもの。食べる食品副産物の量は、牛が食べるものの比率にして実に90〜92%にもなるんだそうですよ。

まだまだ栄養満点の食品副産物。加工すれば人間も食べられるお料理が作れそうです

熟成からお店に届くまで…高い加工技術がフレッシュさを守る

自然由来の栄養をたっぷり摂り、ていねいに育てられる榛澤アンガス。でも、そのおいしさの秘密は単に、育て方によるものだけではありません。榛澤牧場のオーガニックビーフは、有機JAS認証団体の認定を受けた十勝の東洋食肉販売株式会社で、次のような工程を経て加工されます。

まずお肉は、さばかれてすぐにはパックされません。年間を通して温度を0〜1℃、湿度を70〜80%に保った「氷室(ひむろ)」で、25〜30日間ほど低温でゆっくりと熟成させます(氷室熟成)。このひと手間を加えることで、酵素の働きで肉質が柔らかくなり、うま味が深まります。

熟成を経て手作業でカットされたお肉は、「スキンパック」と呼ばれる特殊な機械で立体的な真空パックが施されます。包装内の空気を吸引してパックする方法とは異なるため、お肉からうま味成分を含んだ「ドリップ」が出ず、おいしさや栄養を閉じこめておくことができます。

最後に、スキンパックしたお肉は「3Dフリーザー」で凍結。これは形の違うお肉でもムラなく均等に、包み込むように急速冷却・冷凍する装置なんだそうです。

この3つの技術で、お肉の美味しさをより損なわずにご家庭でも楽しむことができるのだとか!

氷室熟成装置のイメージ図と、製氷庫。これが、「氷室」をつくりだしています

シンプルに考えたら、しぜんとオーガニックな育て方に行き着いた

ていねいな育て方と人びとの知恵、そして最新の技術…なぜ、榛澤さんはこれらのものを結びつけてオーガニックアンガス牛を育てることができたんでしょうか?そんな疑問に保彦さんは「自分で食べたくない、売りたくないものを生産しないだけ。それに、エサは牛にとっていいものを食べさせればいいんじゃないかな、と思って」と、こともなげに答えてくれました。

写真左 毛づくろいする人に「わたしもやって〜」とばかりにどんどん集まる牛たち。
写真右 近づくと小首をかしげるようにこちらを伺う様子に、心和みます

ついつい、「よしよし」と撫でたくなってしまうぐらい人なつこい榛澤牧場の牛たち。もともとは気性が荒いと言われるアンガス牛なのに、なかには近づいてきて手を舐める子も。「毎日きちんとエサをあげてたくさんふれ合って、小さいうちから手をかけてあげれば穏やかな性格に育つんだよ」と保彦さん。

アニマルウェルフェア*とも呼ばれるこの育て方は、昔出会った獣医さんにアドバイス受け、保彦さん独自の考え方も加わり今のかたちに進化しました。牛にとっていいことは、人間にとってもいいこと。このシンプルで実直な考え方は、仲間たちから「榛澤理論」とも呼ばれるオリジナルなものです。

*アニマルウェルフェア:その動物が健康的に生活できるだけでなく、1頭1頭に心を寄り添い、動物たちの行動欲求を満たしてストレスをできる限り少なくする飼育方法を目指す畜産のあり方。
孝さんが差し出す手にゆっくりと近づく穏やかな瞳の榛澤アンガス。信頼されているのが伝わってきます。

未来へのまっすぐな思いとともに届けられる、榛澤牧場のアンガス牛

独自の考え方や自然への思いによって編み出された「榛澤理論」。実際に実践するには、悩むことは多かったし、保彦さんも「今も悩みながら育てている面もある」と言います。それでもご自分の哲学を貫き、愛情と時間と手間をたっぷりとかけて、まるで実の子供のように育てることを実直に続けてきました。

そして、そんな榛澤アンガスをおいしく届けるために、ていねいに加工をする人たち。彼らの、命を大切にいただくことや自然への素敵な想いが重なって榛澤牧場のオーガニックビーフが私たちのもとに届くのだと実感しました。

ビオセボンでは、みなさまにもっと身近にオーガニックビーフを楽しんでいただけるよう、心のこもったお肉を手に取りやすい価格でご提供しています。お店で榛澤ビーフを見かけたら、彼らのこのストーリーを思い出してもらえたら嬉しいです!

取材にご協力いただいた方々
榛澤牧場 様
東洋食肉販売株式会社 様
北の牧場舎 様
マルハニチロ株式会社 様

おすすめアイテム

榛澤牧場
北海道氷室熟成 牛モモステーキ
榛澤牧場
北海道氷室熟成 ローストビーフ

※写真はイメージです。
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