お蕎麦が名産の出雲で、お蕎麦を作り続けて約106年の本田商店さんを訪問。そこには、老舗としての横顔と、新しいことにチャレンジし続けるユニークな側面がありました。

先代の頃から無添加にチャレンジ。長期保存もできる、貴重な有機のお蕎麦ができました

今年を振り返ってしみじみいただく、おいしい年越し蕎麦。
ビオセボンでは、本田商店さんの「縁起そば」が入荷します!生麺で保存料無添加ながら常温で保存でき、手軽に本場の出雲蕎麦が楽しめるという便利なお蕎麦なんですよ。

出雲蕎麦の特徴は、その平たく薄い麺。「普通よりも1.5倍くらい幅が広くて、その分少し薄めなのでスルッと食べられる食感と、平麺なので無意識のうちによく噛んで食べるようになって、口の中に風味がより広がるんです。そこが、出雲そばの魅力ですね」と、本田商店 代表取締役の本田 繁さん。

見た目の風合いも優しく、おいしそうな出雲蕎麦。少し甘辛いつゆをかけて、ざる蕎麦のようにして食べるのもおいしいそう

本田商店は、もともとは主に土産品として買われていく蕎麦を作っていたそうです。「お土産屋さんに置くものだから、『安くて長持ち』を求められるようになりましたが、父の代から無添加にシフトしていくようになったんです」

同時に、繁さんの妹さんがアトピーを患い、原因を調べていくうちに、農薬や添加物の存在に行き着いたともいいます。「それがはっきりとした原因とはわからないけれど、せめて自分たちがつくるものは、添加物無しで作ってみようと思ったんです」

本田商店さんの特徴は自家製粉100%で、素材を粉にする「製粉」から、できあがって包装する最後までを自社工場で行っていること。粉の状態で保存せずにすぐに加工できるから、風味がよく、挽きたての味を楽しむことが出来るんです。また、保存料を使わない工夫として、そば粉を袋詰したあとすぐに水蒸気で加熱。蕎麦のおいしさを損なわずに菌を減らすようにしているのだそうです。

今の作り方に至るまではもちろん、カビが生えたり美味しさの面で不満が出たりと試行錯誤はあったそうです。それでも、諦めず15年無添加の蕎麦をつくり続けて、納得の行くものができてきたといいます。

2000年には、蕎麦で有機JASを取得。実は、国内では有機の蕎麦は、まだ非常に少ない貴重なもの。それを作っている会社の1つのが、本田商店さんなんです。

蕎麦の工場を見せてもらいました。蕎麦の実の入った袋には、しっかりと有機JASマークのラベルが貼ってあります

「うちの主力は5割蕎麦なんですが、風味が良くて『5割蕎麦には思えない』なんて言われるんですよ。なにせ、数百種類の蕎麦をここだけで作ってますからね。蕎麦づくりのノウハウを磨いて、いろいろなご要望にお応えしています」と、製造部 課長の菅田さんが工場を案内してくれました。

効率と伝統、両方を生かした蕎麦づくりの様子を拝見!

この工場がユニークなのは、ここ数年で工場に「トヨタ式」の仕事革命をしたこと!「カンバン方式」といわれるやり方で、必要なものを必要な量だけつくる、在庫を持たないスピーディーな製造方式を取っているそうです。だから、工場のどこをとっても効率的でムダがない!なんだか、「老舗」のイメージからはちょっと意外な感じです。

その日、つくる製品を時系列に従ってモニターに掲示。スタッフ同士でやり取りしなくても、この表を見るだけでお仕事の進み具合がわかるんだそう
本田商店では、営業の方も椅子のないオフィスで働いています。これにより、自席でじっとしすぎずに効率的に働くことができるようになったんだそう
麺が出来上がった先にあるのは、印刷機!こうして会社の中にパッケージの印刷機があるから、少量の製品でも細やかに対応ができるそうです

次に、麺を乾燥させているお部屋を見せてもらいました。「普通は、効率を重視して温風で8時間乾燥させるのですが、熱に弱い蕎麦のことを考えて、うちは冷風で24時間乾燥させています。こうすることで、風味がグッと良くなるんですよ」と菅田さん。トヨタ式の効率の良さと、相反する蕎麦づくりへの経験からくる手間ひまもちゃんとミックスして、より良いものづくりをしているんですね。

麺がじっくり乾燥されている広いお部屋。背の高い菅田さんの身長ぐらいの長〜い麺が、ふわふわと冷風に当てられていました

「効率化は、生産性をあげるということだけでなく、仕事の工程の中でスタッフが「大変だけど、仕方ない」と、しんどさを抱えてしまっている部分の大変なところを取ってあげるのももちろん大きな目的です。費用対効果を考えながら、新しい機械を導入したり効率化を取り入れているんですよ」と繁さん。

将来の夢は蕎麦のテーマパーク!?進化し続ける、本田商店さんの「食」の世界

でも実は、費用対効果を考えずに!?導入したものもあるそうなんです。それが、このパスタマシーン。

「ある時、社長が突然これを買ってきて(笑)。え、じゃあパスタ作って売らないといけないのかぁ…!って、当時僕は営業の人間だったので、本当にびっくりしましたね…」と菅田さん。しかし、このマシーンで作るパスタも今では人気商品だといいます。

「パスタなら女性に受けるんじゃないかと思って、導入してみたんですよね(笑)。でも、『これは失敗の練習だ!』と思って。失敗は将来への投資だと思って、あまり失敗しないように進めるよりは挑戦するほうが好きですね。はじまりはうまく行かないことも多いけれど、大手がやらないことをうちはやってみようと思って、SNSに力を入れたり、お菓子の事業を立ち上げたりしています」と本田さん。

ビオセボンでも通年販売している有機蕎麦。噛むごとに風味のある平面は、ぜひ一度味わっていただきたいです
工場兼本社の前で。真ん中にいらっしゃるのが、本田さん。ひょうひょうとしていてとても物腰の柔らかい社長さんでした!

将来は、蕎麦のテーマパークも作りたいとか!?「蕎麦は挽きたて、打ちたて、ゆがきたてが一番おいしいです。挽きたて、打ちたてのこだわりの蕎麦をお家でぜひ味わって欲しいです」と話す、進化し続ける本田商店さん自慢の蕎麦。有機への情熱とこだわりがどんどん進化していって、これからも私達の食卓を豊かにしてくれそうですね!

おすすめアイテム

本田商店
縁起そば(つゆ付)
保存料無添加。香りが高いのが特徴の稀少な有機そばを自家製粉し、挽きたてにこだわった五割蕎麦。

※写真はイメージです。
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